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「ねぇ、隣のクラスの瑞垣くんって格好ええと思わん?」 「は?瑞垣?誰それ」 そう言ったら、美咲は元から大きい目をさらに大きくしてあたしの机を叩いた。そんな驚かんでよ、別に知らんでも生きていけるでしょ。「瑞垣くんを知らん?!ちょっとそれヤバイって!」そんなこと言われても、知らんものは知らんのです。美咲が見にいこうと誘うのであからさまに面倒くさそうな顔をしたら、机の上に置いていたノートで一発殴られた。「つべこべ言わんで、ほら行くよ!」はいはい、分かりましたよ、行けばいいんでしょ。あーもう、なげやりだ。 美咲にくっついて隣のクラスに行く。美咲は教室の後ろから中をのぞき込んで、瑞垣くんとやらを探している。とりあえず美咲が瑞垣くんを見つけ出すまで、私はぼんやり教室の掲示物を眺めることにした。時間割、行事予定表、学力テストのお知らせ、委員会名簿、いろんなプリントを見ていると、その中に「瑞垣俊二」という名前を見つけてしまった。弟と同じ名前なんだなあ、とぼんやり考えていたら隣で美咲が溜息をついた。「駄目じゃ、おらんみたい」残念そうに美咲が呟く。 今まで私が瑞垣くんという人物を知らなかったこと、わざわざ見に来たのに出逢えなかったこと、それはつまり私と瑞垣くんは縁のない人間同士ということなんだろう。 「ほら、美咲クラスに戻ろう。チャイム鳴るよ」 「うん・・・」 クラスに戻ろうと振り向いた瞬間、ちょうど後ろにいた人にぶつかった。「あ、ごめんなさい」と鼻を押さえながら軽く謝って通り過ぎようとしたら、後ろで美咲が「み、瑞垣くんっ」と小さく呟くのが聞こえた。あれ、神様、私と瑞垣くんは縁のない人間同士じゃなかったんですか。少しずつ顔を上げて瑞垣くんの顔を見たら、目が合った。 「あ、れ・・・お前隣のクラスのやろ?」 「え?あ、はい」 「なんで俺のクラスにおるんや」 「えっとー・・・あー・・・その、瑞垣くんを見に・・・」 後ろで美咲が「ちょっと、何正直に答えよるの?!」って小声でつっこんだ。ついでに私の二の腕もつねった。いや、私だってこんな正直に答えるつもりじゃなかったんだよ、「別に」って軽くスルーしようと思ったのに、瑞垣くんと目が合ってからどうしてだか心臓がドキドキしてしょうがないんですよ。私の心臓に何が起こった? 「へー、そりゃ奇遇やな。俺もさっきまでのこと見に隣のクラスまで行っとったんや」 瑞垣くんが笑った。私と瑞垣くんはこうやって出逢うべくして出逢う運命だったに違いない。 ホルンは高らかに鳴り響く
(そして運命の扉が開かれたことを告げる、) (バッテリー、瑞垣で良かったですか?彩加さん、リクありがとうございました!) |