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目の前には巧の顔があって、その後ろに巧の部屋の天井が見える。巧の、傷一つ無い綺麗な指があたしの体の上を滑るたびに、自分の口からひどく高くて小さな声が漏れるのが恥ずかしい。それを我慢するために下唇を噛み締めようとしたら、巧が唇を押し付けてきた。ちゅっ、と音を立てて唇を離すと、巧はぼそりと呟いた。 「、吹奏楽部員は唇が大事なんだろ。傷付けるようなことすんなよ」 「ごめ、ん・・・っでも、」 「我慢しなきゃいいだろ」 少し不機嫌そうな顔で、眉根が寄った巧は、心臓がどうしようもないくらいにかっこいいと思う。きっと周りの女の子たちもそう思ってるんだろう、そんな表情を巧はいつもしてるから、モテるのも当然なんだと考えたら馬鹿みたいなことに涙が出そうになって、それを隠すためにあたしは強く目を閉じた。 巧の手の平があたしの右頬を軽く叩く。目を開けたら、巧はまだ不機嫌そうな顔で、でも蕩けそうな目をしていた。それはいつもの合図で、巧はあたしの腰を抱えると、少し強引に下半身を押し付ける。その感覚に、あたしは今までより高くて大きな声を出してしまう。そんなに回数を重ねてるわけじゃなくて未だにその感覚に慣れないあたしは、痛くて、苦しくて、だけど痺れるみたいに気持ちよくて、シーツを左手で強く強く握り締める。はぁっ、と小さく息を吐いて、、少し苦しげな巧はシーツを握り締めるあたしの指を解くと、その手に自分の右手を絡めた。普段軟式ボールしか握らないその右手で、普段誰にも触らせないその右手で、この瞬間だけ巧はあたしの手を繋ぐ。この瞬間、きっと巧とあたしは心の底からなにもかも全部繋がってるんだ、そう思って繋がった手が熱くなる。 繋いで。繋いで。繋いで。 (もっと深いところまで) |