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やっぱり、私はもうちょっとでもいいから背が高くなりたい。そうすればもっと毅然と立ち向かえるし、堂々と言いたいことを言えるはずなのだ。目の前で恐ろしく無表情に突っ立って私を壁と自分の身体でサンドイッチしている、影山くん相手に。たぶん。毎日朝昼晩と牛乳を飲んではいるものの、高校生になった私の身体は縦に伸びる成長期を終えて、なんだか最近ぷにぷにしてきたような気がする。どうせならこのちっぽけな胸だけでもせめて大きくなってくれればいいものを、ぷにぷにするのはおなかや太ももばっかりだ。 いや、そんなこと考えてる場合じゃなかった。私は目の前にいる影山くんからどうにかして逃げなきゃならないんだ。影山くんの無言のプレッシャー、怖すぎる。 「」 「、はい何でしょう影山くん」 「俺が何が言いたいか分かってるよな?もちろん」 「・・・えーと、その、いや、ちょっと、うーん」 「な ん で 日 向 と 仲 良 さ そ う に 肉 ま ん 食 っ て た ん だ」 「・・・!(やっぱりそのことかー!)」 部活の終わった放課後、バド部の友達と一緒に坂の下で肉まんを食べようとしたらちょうど売り切れで、友達は「ざんねーん!まあ家に帰れば晩ごはんあるしね」と言って帰ってしまったのだけど、両親が仕事で夜遅くまで帰ってこない曜日だった私は何か別のものでもと思っていたところで、最後の肉まんを買い占めていた男子バレー部の日向くんに一つ恵んでもらった、っていうことを影山くんに説明したところで、それは別に影山くんの怒りを収めるのに何の役にも立たない。影山くんは、とってもやきもちやきさんだ。 私の身長がもうちょっとでも高かったら、きっともっと影山くんにはっきりと自分の考えを伝えることが出来るし、ごめんねって、大好きって、影山くんだけだよって、言えるのに。 「・・・影山くん、あの、」 「何だよ言い訳か?」 「そうじゃなくてっ、」 「じゃあ何」 「・・・ごめんね、飛雄くん大好き」 やっとのことで絞り出した言葉は、影山くんの胸板に吸い込まれてしまう。「ちくしょー分かってるよそんなことは・・・」って頭の上から影山くんの声がして、背中を丸めておでこに柔らかい感触。視界はもう影山くんでいっぱいで、背の小さな私はいつだって背の高い影山くんしか見えないんだってことを、本当は教えてあげたい。日向くんのくれた肉まんを食べながら、私は影山くんと一緒に食べたいなーなんて思っていたとか、日向くんには申し訳ないけど、それが今の私の気持ちだ。 背中を丸めてキスしてくれる影山くんが少しでも楽になるように、やっぱり私はもうちょっとでも身長が高くなりたいって思う。 |