「・・・た、大佐がいな――――いッ!!!」










  執務室は空っぽ
  机の上は、手を付けていない書類の山、山、山・・・










「まったく、あの無能大佐め・・・」










  はそう言い捨てると、青いファイルを抱えて執務室を飛び出した




















  季節は春
  暖かな風が心地よい眠りを誘う





  ロイは中庭にある大きな木の下で、ウトウトと目を閉じていた





  そんな心地よい時間を切り裂いたのはの声










「あ―――ッ!大佐発見ッ!!」

「やあ、

「やあ、じゃないです!仕事もしないでこんなトコにいて・・・」










  ロイはの話を聞いているのかいないのか、目を閉じたままだった










「・・・って、大佐!ちゃんと聞いてるんですか?」

「もちろんだ。の声ならちゃんと聞こえてるよ」










  目を閉じたまま答えるロイに呆れたのか、はロイの隣に膝を抱えて腰を下ろした










「こんなにも心地よい天気の日に昼寝をしないのは、罪というモノだよ」

「・・・へりくつですね」

「昨日の雨で花が少し散ったようだな」

「・・・話、そらしましたね?」

「春の眠りは非常に心地よいものだ」

「・・・大佐はいつでも心地よさそうに眠ってますけど」

「・・・」

「・・・」










  ロイの顔が微かに歪んだ





  春風が髪をなびく


  ロイの綺麗な黒髪が揺れる


  の柔らかな髪が揺れる










も一緒に昼寝しないか?」

「お断りします」

「一緒に昼寝だ。これは命令だからな」

「職権乱用、職務怠慢ッ!!」

「ほう、上司にそんな口をきくとは・・・軍法会議にかけられたいか?」

「・・・狡い」










  黒い微笑みでを黙らせると、ロイはの腕を引っ張った


  はすっぽりとロイの腕の中に収まる










「・・・ッやだ!放して・・・!」

「こ、こら!そんなに暴れるな!!」

「いやだぁ!!痴漢ッ、変態ッ!!」

「くっ・・・実力行使も出来るんだぞ?」

「・・・!」










  ロイの発火布が目に入ったのか、は口をつぐんだ






  ロイの手が優しくの頭を撫でる


  ロイの指が優しくの髪を梳く










「大丈夫・・・何もしないから」

「させませんから」










  暖かな風が二人の髪を弄ぶ










「大丈夫・・・本当に何もしないから・・・」










  その言葉にはゆっくりと目を閉じた


  それを確認すると、ロイもゆっくりと目を閉じた






  そして二人は、春の暖かな風を頬に受けて、一緒に微睡みの中へと落ちていった










  ++++++++++
    ちょっと(かなり)季節外れですが。
    大佐夢。