「じゃあ1週間くらい家空けるけど、ちゃんとごはん食べてね!寝るときは戸締りもするんだよ!ディーノは部下がいないとダメダメなんだから。お土産買ってくるからね!」





そう言い残して、が大きなスーツケースを引っ張ってジャッポーネに出発してから1時間。を見送った空港から帰ってきたこの家は、俺が一人で生活するには広すぎる。さっきまでと向かい合って座ってコーヒーを飲んでいたダイニングテーブルは綺麗に片付けられていて、が作り置きしてくれた食事の場所とか温めなおし方とかが走り書きされたメモがクリップで止められて置いてある。とりあえずコーヒーでも飲もうかと思ってケトルでお湯を沸かそうとしたら、手が滑って危うく熱湯を頭から被るところだった。早く、帰ってこないかな。





*****





とりあえずがいなくなって1日目、昨日はなんとか乗り切ることが出来た。だけど今朝、いつも起こしてくれるがいないせいか寝坊して、が作ってくれるみたいなオムレツを作ろうと思って卵を電子レンジであっためたら爆発して、コーヒー豆ぶちまけるし、もう既に心が折れそうだ。早く帰ってきてくれ、とか思いつつ、それでもあまりにも情けない気がしてに泣き言を電話してしまいそうな自分を叱咤する。これでもキャバッローネの10代目だぞ、俺は。





『よっディーノくん!生きてる?』

ー!うん、俺は生きてるぜ!」

『そっかー、なら良かった!すごく心配で夜もおちおち寝てられないんだよ私』

「そんな心配すんなって!今日はロマーリオ達も飲みに来るって言ってるしな」

『じゃあ安心だ!・・・ねえ、さみしくないの?』

「・・・んー、まだ大丈夫かな!」

『ならばよろしい。お土産楽しみにしててね』

「おう」





危ない。タイミング良くかかってきたからの国際電話での声を聴いた瞬間、思わず泣きそうになったの、ばれてないかな。さみしくないの?なんて、さみしいに決まってるだろ。言わないけど。と離れて1日しか経ってないのに、もうがいないこの家はまるで別の場所みたいになってしまうんだから。





*****





ー、早く帰ってきて





*****





「ディーノ!ディーノってば!生きてる!?」あまりにもに会いたいと思いすぎてついに幻聴が聞こえるようになってしまったんだろうか。がジャッポーネに帰省して5日目、仕事の時はがアイロンをかけてくれていたシャツに腕を通して出かけるけど、それ以外はほとんどの匂いがするベッドから出ていない。「こらディーノ!いるんじゃないの!」そうだよもうここから動きたいくないんだよ。「ちょっとディーノいい加減にしなさい!何なのこの部屋!」頭に一発鈍い衝撃。あれ、幻じゃない?





「・・・、本物?」

「本物に決まってるじゃん!もう!心配して早く帰ってきてみたら案の定、こんなことなってるし!」

「・・・っーーーー!!!!」

「ぎゃっ!?」





本物だ。ずっとずっと会いたくて仕方なかった。コートを着たままのの腕を引っ張ってベッドに引きずり込んで抱きしめる。がいないとごはん食べても全然おいしくないし、テレビ見てても全然面白くないし、夜寝るときは寂しくて仕方ないし、部屋だってめちゃくちゃになるし、俺は本当にがいないとダメなんだよ。
「仕方ないなあもう。ディーノ、ただいま」ってが俺の頭を撫でてくれる。がいなくなるたびにこうやって迷惑とか心配とかかけてばっかりの俺だけど、でも逆にが傍にいてくれるなら俺は無敵だと思うんだよ。のことは何があっても絶対に俺が守るし、俺が絶対に幸せにする。
だからさ、今日くらいボスらしくない俺を認めてくれてもいいんじゃないか。











きみのとなりは無条件幸福空間
(命を懸けて、きみときみのとなりを守ろうと思う)


社会人設定。彼女がいないとダメなディーノのお話。