『今サークル終わったから、30分後くらいには帰るよ』とは辰也からのメールである。恋人たちの二大イベントであるクリスマスとバレンタイン、その後者の当日。辰也はバスケサークルの練習に朝から出掛けて行ってしまった。「夕方には終わるから、そのあとはデートしよう」なんて言っておでこにキスをして辰也は出掛けて行ったけど、まあ私がそんなキス一つで大人しくなるわけがない。不機嫌マックスだ。別に、辰也が出掛けるのが嫌なんじゃない。辰也が、サークルで、マネージャーの女の子なんかにチョコレートを大量に貰ってくるであろうことが不機嫌の原因だ。辰也は優しいから女の子からのプレゼントを断るなんてことはしない。そして受け取ってきた大量のお菓子はもちろん辰也一人で食べきれるわけはなく、女の子たちには大変申し訳ないのだけれど半分以上は私のお腹に入ってしまう。その結果、私は体重計に乗るのが嫌になってしまうし肌荒れしちゃうので、それが嫌なだけ。そう、それだけ。毎年の恒例行事ですからね。別にやきもちやいてるとか、そんなんじゃない。
ちなみに、私はイライラするとパンを焼くことにしている。パン生地をこねるには結構力が必要なのでイライラを込めてこねるとそれはそれは美味しいパンが焼き上がる。無駄にイライラしてるよりはとても生産的なので、結構おススメ。ただ私の場合、イライラ=パン作りというのが辰也にばれているのが残念ではある。今日もいつものようにパンを作ることにして、さてこの前ドラマで見たパン・オ・ショコラでも作ってみることに決定した。相変わらずイライラをぶつける相手にはパン生地はうってつけだ。





「ただいま、・・・パン作ってるんだ?今日は何パン?」

「お帰り辰也。今日はバレンタインデーなのでパン・オ・ショコラです」

「・・・やきもちやいてるの?」

「いいえパンを焼いてるんですよー」

「ふふっ、相変わらずはかわいいなあ」

「ちょ、そんなくっついたらパン作れな、い」





口ではなんだかんだ言いつつ、こうして辰也に抱きしめられてたくさんのキスを浴びせられると私は幸せな気持ちになってしまうからどうしようもない。まあパン生地はこね上がっているからイライラな気持ちはもう必要ないし、だいぶイライラは発散されている。
ふと、辰也のスポーツバッグの上に置いてある小さな花束が目に入った。なんだろう、今年はお菓子だけじゃなくお花のプレゼントもあったんだろうか。なんて考えていたら辰也が私の視線に気付いたようで、「ああ、これ」と言ってピンク色に溢れた花束を持ちあげて、私に差し出す。





「どうしたのこのお花、もらったの?」

「まさか、オレからにプレゼントだよ」

「わ、私に・・・?」

「そう。欧米なんかじゃ男性から女性に花を贈って愛を告げるのが主流なんだよ」

「・・・そうなの?」

「そうなの。、Happy Valentine's Day! I love you more and more as the years goes by.」











何よりも君が大好き
(Life is not worth living without you!)



大学生設定。バレンタインにプレゼントを大量に貰ってくる氷室にやきもちをやく話。