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「おーい、榛名元希さーん?」 「んあ、なんだよ」 「あのですね、もう23時なんですけど」 「あ、そう」 それだけ言って、元希は再び私に背中を向けて漫画に視線を戻す。「あ、そう」じゃねーよ!ここは私の部屋で、私がフローリングに座っているというのに元希が寝転がってるのは私のベッドだ。部活を終えて私の家のチャイムを鳴らした元希がずかずかと上り込んで、別にそのことは大した問題ではないんだけど、パパもママも私が元希と付き合ってることは知ってるし、何よりこの1週間二人は結婚記念日を祝うためにヨーロッパ旅行中だ。そう、何が腹立つって元希は私が用意した晩ごはんを食べ、ベッドに寝っころがって漫画を読みふけってるってことだ! 「ちょっと元希、あんた何しにうちに来たの」 「何って、別に?に会いに来ただけだけど」 「・・・あ、そう」 嬉しくないわけじゃない。もちろん、私だって部活が忙しくてなかなか会えない元希がこうして会いに来てくれることは、本当はすごくすごく嬉しいんだ。それなのに、それだからこそ、久しぶりに二人きりっていう状況なのに抱きしめてもくれないキスもしてくれない、そんな元希にイライラしてしまう。私が男だったらなあ!元希のこと押し倒してキスだって出来るのに!! 「、」 「・・・何よ」 「俺とキスしたい?」 元希からいきなりそう聞かれて、心の声が聞こえちゃったのかとびっくりしてしまった。いつの間にか元希はこっちを向いていて、意地悪そうな顔でニヤニヤしている。ああ、元希の掌の上で転がされてるんだ私! 「元希とキス、したい」 「そんだけでいーのかよ?」 「・・・もっと」 「もっと、って何?俺に分かるようにちゃんと教えてくれよ、」 ここからは言葉なんて、いらない。自分が着ていたシャツのボタンを外して電気を暗くすれば、元希が私を抱きしめてくれるから。 |