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左胸の 奥の方がすっごく痛いような、熱いような気がする。理由は、よく、分からないんだけど。だけど、原因の一つは、自分でも、何となくだけど、分かってると思う。きっと、俺の左胸がこんなになってるのは、さんのせい。教室で泉くんたちと話してたら、さんが「三橋、田島、泉、浜田おはよー!」って挨拶してきて、田島くんたちはフツーに「おはよー」って返事してたのに、俺は結局何も言わないで、何も言えなくて、走って教室から逃げたんだ。どーして?なんで?目の前が涙で、滲んでくる。 「三橋ー、そろそろ教室戻って来いよ!・・・って、泣いてんのか」 「い、泉くん・・・」 泉くんが俺の隣に腰を下ろした。さんと泉くんは、中学校同じで、仲良しだから、きっとさんが泉くんに文句言って、それを泉くんが俺に伝えに来たんだ・・・!あ、あ、当たり前だよね、だって俺は、俺はさんから走って逃げたんだ。さん、怒って当然・・・俺は、嫌われて当然だ、よね。どーしよう、またどんどん涙が出て来て、俺は右手でそれを拭った。 「・・・三橋さー、なんで見ると逃げんの?」 「だ、だって・・・」 「だって?言ってみ?」 「・・・さんのこと、見たら、左胸がすごく・・・」 「・・・ドキドキすんの?」 「う、ん・・・」 そう言って頷いたら、泉くんは「ふーん、なるほどね・・・」と言って、立ち上がった。ど、どーしよ、泉くんにヘンだと思われちゃった・・・?もう、俺どーしたらいいのか、全然分かんないよ。さっき拭ったはずの涙が、もう一回こぼれ落ちてくる。何回拭っても拭っても、次々に涙が出て来て、キリがない。 隣に立っていた泉くんが、もう一回、俺の目の前にしゃがみ込んだ。 「三橋、大丈夫だって!お前、のコト好きなんだよ」 「好、き・・・?お、俺が、さんを・・・?」 「そーだよ。だた、それだけ。お前は全然おかしくなんかないよ。だからさ、三橋は今の話をにしてやりな?」 「さん、に・・・?」 「おう、ほら早く教室行こーぜ」 「う、ん!」 泉くんが立ち上がる。俺も、泉くんに続いて立ち上がる。泉くんがニッコリ笑ったから、俺もつられて、笑った。 やっと、分かった。左胸のドキドキの理由、痛い理由、熱い理由。全部、俺が、さんのこと好きだから、なんだ。教室に向かって、走る。朝のHRが始まるチャイムまで、残り3分。教室のドアを開けたら、少し涙目の、さんが、田島くんに頭を撫でられていた。 「っ、さん・・・!」 「三、橋・・・どしたの?」 「お、お、俺・・・さんのこと見たら、左胸が、すごくドキドキして・・・俺、さんが、好きだ」 さんと、目が合った。ほら、また左胸の奥が、痛いような、熱いような。自分でも、心臓がすっごくドキドキしてるのが、よく分かる。逃げたい、俺?ううん、逃げたりしない、よ。だって、俺は、さんのことが、好き。左胸に、ビリッと電流が走って、電源が入る スイッチ |