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サン好きだよ、って100回目の告白をサンにしたら、いつもなら利央いい加減うざいよ1回頭冷やしてきたら、って冷たくそっぽ向いて言われるだけなのに、今回サンは俺の顔をじっと見つめて、それから泣きそうな顔で笑った。ついにサンが俺のことを受け入れてくれるのかと思ってサンに近付いたら、アキレスは、とサンが言ったので俺は意味が分からなくて立ち止まった。 「アキレスは、亀に追いつけない」 「サンいきなり何なんスか意味分かんないよ」 サンはまた泣きそうな顔で笑って、それからアキレスは亀に追いつけない話をしてくれた。とても足の速いアキレスの1メートル先にとても足の遅い亀がいて、アキレスがその亀に追いつこうと1メートル進むとその間に亀は50センチ進む。アキレスがまた追いつこうと50センチ進むと亀はその間に25センチ進む。アキレスが25センチ進むと亀はまた先に、アキレスがまた進むと亀はさらにその先に行くから、アキレスはいつまでたっても亀に追いつけないんだよ、とサンは言った。それからサンは、泣いた。どんなに頑張っても追いつけないなんて可哀相だよね、そう言うサンは今まで見たこともないくらいに小さかった。いつも笑ってるサンじゃなかった。 「だから、利央はあたしに追いつけないんだよ」 サンの声はなんだか絶望がいっぱいで俺までなんだか泣きそうで視界がかすんだ。だけど、だけどねサン、違うんだよ。それは違うんだ、って誰かが証明してくれてるんだよ。だから俺だってサンに追いついて、つかまえて、ギュッて抱きしめてあげられる。サン、好き。好き、好き、好き。その想いだけじゃこの距離を埋めるのに足りないの? 「そんなん関係ないっスよ。俺、必死に手伸ばして絶対サンのことつかまえる」 そう言って手を伸ばしてサンの手を、掴んだ。 遠距離近距離 (同じ場所に立てなくても追いつくだけは可能だ、って信じたい) |