「お母さーん!TSUTAYA行ってくる!」





夏休みも終わりに近付いたある夜、あまりの暑さに耐えかねてTSUTAYAに涼みに行くエコ人間あたし!というのは実は建前で、夏休みが終わるっていうのに終わりの見えない宿題から目を反らすのが本当の目的であります!いや、実際家も暑いんだけどねクーラーあるのに使わないエコ家族ですから。でも暑いと、はかどらない宿題も余計にはかどらないじゃん!蒸し焼きになるじゃん!そんなわけでちゃりちゃり自転車をこいでTSUTAYAに向かうわけです。あたしの家からTSUTAYAまで、のんびーり自転車をこいでも10分あれば充分なので、あたしの目にはすでにあの青い看板が見えている。
自転車を入り口近くに止めて、あたしの(精神的)オアシスに足を踏み入れる。うっわーめっちゃ涼しいじゃん家とは大違いじゃん!あたし一生ここで暮らしてもいいなー!DVD見放題だし!せっかく来たからには何か借りて帰ろうと思って店内を回る。やっぱ夏だしホラーかなでも一人じゃ怖くて無理無理。あ、仮面ライダー電●とか?ウラタロスかっこいいよなー!ぐるぐる、ぐるぐる、同じ所ばっかり回ってたら店員さんに変な目で見られて、さすがに自分でも怪しくなってきたのでサッと違う通路に入った、ら、そこはピンク色の世界の入り口の一歩手前で、やっべー!大人の世界に足踏み入れちゃいそうだよあたし!とか焦ってたら、カーテンの向こうから出て来た人を見てさらに焦った。





「た、たったたたたた田島?!」

「げっ!じゃん!こんなアブナイところで何やってんのお前!」

「田島こそ、あんたまだ高一、っんむ!」

「コラでかい声出すな歳バレるだろ!」





田島が手に持っていたカゴを床に落とすと、両手であたしの口を塞いだ。田島の手のひらが唇に当たる。今まで知らなかったけど男子の手ってこんなゴツゴツしてるのか!特に田島なんか野球してるから余計にかたそうだよなー、とか思ってたら段々息苦しくなってきて顔が熱くなってきた。ちょっとちょっと田島死ぬ死ぬ!窒息死しちゃうよ田島!苦しくてうんうん呻ってたらやっと田島が気付いて手を離してくれた。ぷっはー!生き返るー!都会の空気をこんなに美味しいと思ったのは初めてだ!
深呼吸をしながら田島が持っていたカゴの中身を見たら、あたしは口に出して言えないようなDVDが入っていて、やっぱり田島も高校生男子だよな、と思った。別にあたしは田島のそんなところ見ても軽蔑なんかしないけどね!「エロ=田島」という方程式はすでにあたしの頭の中に出来上がってますから!もう1回カゴの中を見たらなんだか巨乳の女の子がいっぱいだったので「田島って巨乳好きなの?」って聞いたら、「当ったり前だろー!巨乳は男のロマンだぜ!」って目を輝かせながら言われた。ちなみにあたしは巨乳じゃなくてむしろ貧乳なので少しショックだった。










結局あたしは、お兄ちゃん誘って一緒に見ればいいや、とか勝手に決めてホラー映画を借りて帰ることにして、大人のDVDをレンタルした田島と一緒に店を出た。田島が呑気に鼻歌なんか歌ってるので、田島に「何の歌?」って聞いたら「んー?バンプのノーヒットノーランって歌!」と陽気に答えたので、今度TSUTAYAで探してみようと思った。ふいに田島が「ー」と呼んだので、返事をして振り向こうとしたらいきなり田島にギュッて抱きしめられた。びっくりして抵抗の声を出そうとしたら、もっと強く抱きしめられて何も言えなくなった。ほっぺたが熱い。田島の手が触れてる背中が熱い。っていうかもう全身熱くて、頭がぼんやりしてくる。夜の空気はまだまだ暑くて立っているだけでもじんわり汗が出てくるのに、田島に抱きしめられたりしたらもうどうしようもない。やっとのことで声を振り絞って「た、じま・・・っ」って言ったら、田島がちっちゃい声で「、好き」って言ったように聞こえた。




















(熱に魘されるあたしの幻聴ですか、熱に冒されたあたしの幻覚ですか)