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「うわっ?!」 「っ!?」 俺は至って普通に学校の階段を下りていたのに、なぜだかそいつが俺の背後から覆い被さってきた、というか落ちてきた。その理由は至って簡単なことで、要するに俺の背中の上のこいつ、 、がどうしようもないマヌケで救いようのないドジ女だからだ。にプリント運びなんかさせた日には学校中の廊下がプリントだらけになることは確実で、が掃除当番なんかになった日にはキレイになるはずの教室が逆に汚くなることは間違いない、今の2つ目はちょっと言い過ぎたような気がするけど、まあ大体そんな感じだ。それくらいにはマヌケでドジ女だ。だから階段から足踏み外して落ちるなんて日常茶飯事というわけだ、証明完了、QED。 「うわー獄寺ごめんね!びっくりした?ほんとごめんね!」 「謝るのはいーから、さっさと俺の上から退きやがれドジ」 「いやー、そうしたいのは山々なんだけど足捻って痛いんだよねー獄寺」 「・・・なんだその目は」 「だから獄寺がこのままあたしを負ぶって保健室まで連れてってよ」 「ハァ?!何で俺がっ!」 「頼むよー獄寺ぁー」 がギュッと俺の首にしがみついてきた所為で俺は前のめりに階段から落ちそうになる。咄嗟に手すりを掴んで体を支えると、は「もー獄寺まで落ちて怪我しちゃったらシャレにならないよ」と、しがみついたまま笑った。こいつはマヌケでドジなだけじゃなく、アホで鈍感女らしい。地球上のどこに好きな奴からしがみつかれて動揺しねー男がいるって言うんだ、まったく!ああ、と触れ合ってる首とか背中とか、やけに熱をもって本当に熱い。そんな俺の気も知らないでは背中で「獄寺早くしないとチャイムなっちゃうー!」なんでギャーギャー騒いでる。あーあ、もうどーにでもなっってしまえ! 「っ仕方ねーな、ホラ、しっかりつかまってろよ!」 「OKOK!さあ行け、特急獄寺59号保健室行きー!!」 「うるせー、少しは静かにしてろ!」 ぶーぶー口をとがらせて文句を言うを負ぶって俺は階段を下りる。最初こそうるさく文句ばっかりだったは、俺が廊下を歩いていく度に段々と楽しそうな表情に変わっていって、廊下ですれ違うクラスメイトや先生たちに「あっ美咲ちゃん、やっほー!」とか「坂田先生こんにちわー」とかのんきに挨拶したり手を振ったりしている。本当にのんきなもんだ、俺がどんな気でいるのかも知らないで。このままを攫えてしまえたならいーのに。誰も知らない遠いところまで、背中にを負ぶって安全運転。 「・・・あー、重てえなあ」 「何よ獄寺、超失礼ー!あたし45kgしかないのに!」 「そーゆーコトを言ってんじゃねーよ」 背中にのし掛かる世界 (背中に大事なおまえの命を乗せてるから、なんて台詞はダサ過ぎると君は嗤うだろうか) |