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「さあ、いい加減獄寺に告白すればー?」 「は!?いや、どう考えたって無理!獄寺そんな雰囲気じゃないもん!」 放課後教室のドアを開けようとして、思わず立ち止まってしまった。聞こえてきた声は二つ、と、それからの声。うわ、なんだよ今の。え、俺のこと・・・みたいな流れじゃねーか今のは確実に!うっわ、やべーなんか鼻の奥の方がツンとする。盗み聞きなんてするつもりもなかったけど、この状況でドア開けられるわけないし、かといってこの場から立ち去ることも出来ないし、だって、気になるじゃねーかが俺のことどう思ってるのか。 「だって獄寺って話しかけたらいっつもツンツンしちゃってさ、私のこと嫌いなんだよ」 「それ、獄寺ものこと意識してるからじゃないの」 「ないないっ!あの獄寺が私のこと好きとかないって!」 ・・・ばーか!俺のばーか!別に俺はのこと嫌ってるわけじゃなくて、むしろ逆にの言ったこととか図星すぎて怖ぇんだけど!みたいな感じで、なんで俺、もっと素直にならなかったんだよ、いや、でも、素直な俺っていうのも相当気持ち悪いっつーか。ドアに掛けたまんまの手の平にじんわりと汗が浮かぶ。うわ気持ち悪!つーかどうする俺!このままここに突っ立ってるわけにもやっぱりいかないし、とりあえずどうする俺! そんなこんなでもやもや考え込んでたら、不意に目の前のドアが開いた。そこに立っていたのは、もちろんとで、俺と目が合ったは一気に顔が赤くなって、それから真っ青になった。 「ご、ご、ごごご獄寺・・・!」 「、おう・・・あの、」 「え、獄寺、いつから・・・?」 「・・・がお前に告白すれば、って言ったとこから」 「・・・!」 それを聞いたは、何も言わずにいきなり走り出した。呆気にとられて俺は何も言えなくて、その後ろ姿を見送る。そしたらにカバンで一発殴られて、「ばか獄寺さっさと追いかけなよ!あ、それからこんなカミングアウトでごめんねばか獄寺」怒ってるんだかけなしてるんだか謝ってるんだかよく分からない態度でに指摘されて、慌ててを追いかけた。あれ、ってこんな足早かったか?その背中はもう見えなくなっている。まあ、そんなの関係ないけどな。絶対俺のが早いし、追いつくから。 追いかけ始めてすぐに、の背中は見つかった。俺の足音に気付いたのかこっちを振り向いたは、俺の顔を見て焦ったのか、さらにスピードを上げた。ばか、そんな本気で走ったら、スカートの中見えるっつーの! 「・・・っなんで獄寺追いかけてくんの!ばか!追いかけてくんなばか獄寺!」 「ば、ばかって言うんじゃねえ!ってゆーかちょっと止まれよ!」 「やだ!だって、獄寺怒ってるもん!」 「怒ってねーよ!」 「いーや怒ってるね!だって、獄寺、私のこと、嫌いなのに、あんなの聞いて、怒ってるに決まってるもん!」 「怒ってねえっつってんだろーがばか!いい加減止まって俺の話聞け!」 「やだやだ!もう、獄寺追いかけてこないでよ!なんで追いかけてくんの!」 「・・・っあのなぁ、嫌いじゃないからに決まってんだろ!ほんとにばかかお前は!」 そう言ったあとに気がついた。俺、今なんか勢いに任せてものすごいことを言わなかったか?言ったよな?何言ってんだばか、俺のばか!恥ずかしいことこの上ねえな!だけどその言葉を聞いたのか、は5メートルくらい先で立ち止まって、恐ろしく間抜けな顔でこっちを見ている。あーあ、放課後でほんとに良かった。静まりかえった廊下に、グラウンドで部活してる奴らの声と、それからと俺の少し上がった息の音だけが響く。 その場から一歩踏み出したら、が一歩後ずさった。 「・・・、頼むから逃げんなよ」 「獄寺、エイプリルフールはとっくの昔に過ぎてますよ」 「、嘘じゃねーよ!」 「・・・だって、獄寺が、あんなこと言うから・・・」 「・・・嘘じゃねーよ、だから逃げんな」 もう一歩踏み出したら、今度はは後ずさりしなかった。それからもっとに近付いて、手を掴んだ。 |