非同盟マフィア間の抗争というのはいつの時代も起こり得るもので、こっちのマフィアとの抗争が鎮まったかと思えば次はそっちのマフィア、となかなか終わりを見せないし、長い間陰湿で残酷な争いを続けているところだってある。それでも、ボンゴレが十代目の手に委ねられてからは、抗争の数はめっきり減ったと俺は思う。争いを好まない十代目、ただ、彼にも譲れないものが存在するのであって、それを護るべく、彼は祈るように拳を振るう。だから俺は、そんな彼を護ろうと、そんな彼に付き添おうと決めたのだ。





「隼人、私たちロミオとジュリエットみたいね」





一つのベッドの中で、がぽつりと呟いた。
争いを好まない十代目、彼に付き添うと決めた俺は、それなのに彼を裏切った。俺の隣にいるは、現在ボンゴレと抗争を続けているとあるマフィアのボスの一人娘だ。に近付き懐柔すれば、娘に滅法甘いという父親はきっとこんなくだらない争いなどやめてしまうだろう、俺はそのための囮にすぎない。そう言ってしまえば聞こえはいいし、誰も俺が十代目を裏切ったなどとは言わないだろう。だけど、俺は、を愛してしまっている。それは彼への裏切り以外の何物でもないのだと、俺は思う。





「・・・ああ、隼人。どうしてあなたは隼人なの」

「くだらねーこと言ってんじゃねぇよ

「くだらない?・・・そう、そうね、くだらないわ。こんな関係いつでもやめてしまえるんだから」

「・・・、    ?」





そう言ったら、自分からその話題を切り出したくせにはひどく哀しい顔をして、「まだ、まだやめない。やめないで隼人、」そう呟いて俺の唇に自分の唇を重ねた。ああ、分かっていることだけど、も俺を愛しているのだ。そして、もまた、父親への裏切りを感じている。ひどい世界だ、まったく。
このまま夜が明けなかったならどうなるだろう、そう思った。










けれどそんな日々もいつかは必ず終わりを告げる。ボンゴレとの争いは日々熾烈になり、多くの死者を出すまでに至った。十代目は、傷付いた仲間を見て、眉間に皺を寄せて目を閉じた。もう、彼の心は決まってしまったのだ。「二日後、ドルチェットファミリー壊滅作戦を実行する」彼は沈痛な面持ちで、そう言った。





、もう潮時だ」

「・・・そう、そうね隼人」

、俺は、本当にお前を」

「いいの隼人、私だって同じ。私は隼人を心から愛しているけれど、それは私が生きているからこそであって、死んでしまったら意味が無くなってしまう。私、まだ生きていたいもの」

・・・愛してる」

「ねぇ隼人、私たちがちゃんと生き延びることが出来たらの話だけど、」





は、鉄柵の隙間から腕を伸ばして俺の髪に触れた。その手がするりと頬に落ちて、何度も握り締めたの柔らかで滑らかな指が俺の唇に触れる。そっと、その手を握って、鉄柵越しににキスをしたら、いつもは甘かったはずのの唇は塩辛い味がした。錆びた鉄柵の匂いが、ツンと鼻をついて、それでも息が出来ないほどにキスをした。





「・・・もし、生きてたら、世界が私たちを忘れた頃にもう一度、」










忘れた頃にもう一度
(出逢って、次は幸せになりたいのです)


(「BOMBARDANDO」さまに提出させて頂きました!素敵企画でもうお腹いっぱいです!ありがとうございました♥)