荒れた呼吸の音と、乱れた着物と肌と畳が擦れ合う音が響く。
愛してるよ、
僕は本当に酷い男だけど、それでも僕を愛した、君が本当に愛おしいのだ。
は、僕を裏切ったりしないだろう。だから僕も、今度はを裏切ったりしない。

、いいかい」
「・・・ええ、恭弥さん」

ぷつり。
の白い首筋に、一筋の赤い液体が零れ落ちる。
ぷつり。
僕の首筋から溢れた血が重力に従って、の顔に落ちる。
ぷつり、ぷつり。
朦朧とする意識の淵で、が泣いた。

「・・・恭弥、さ・・・やっと、私を、見てくださった・・・」
「ああ、・・・ごめん、ごめんよ・・・愛してるんだ」
「、私だって・・・恭弥さん、を愛して、・・・」

の言葉はそこで途切れてしまった。畳はどんどん染まっていく。
それなのに、僕の意識は朦朧としたまま纏わり付いて一向に僕から離れようとしない。
頼むよ、お願いだから。僕を死なせてくれよ。僕をと一緒に死なせてくれ。今度は裏切りたくない。
僕を殺して。殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して。



ああ、そうか。
僕は死にたくても死ぬ事が出来ない。それは欲望でも絶望でも贖罪でもなく、これは「雲雀恭弥」という咎人に与えられた罰であり、僕は多くの物を失って生きていかなければならないのだ。
あの日、生きたいと僕が望んだばかりにを裏切った代償に、僕は、何度も何度も大事なものを失い、生きるのだ。



また一つ、僕は失った。






七、 そしてある真夜中に