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「私もっともっと絵が上手になったらツナをモデルにしてあげる!だからそれまでにツナはもっともっとかっこよくなってね!」 そんな約束を、ツナはまだ覚えてるのかなあ。その約束をしてからもう10年も経っちゃったけど、私はちゃんとまだ覚えてるよ。ねぇツナ、いつのまにかなんだか変わっちゃったね、こんな近くにいるのに私全然気が付かなかったよ、毎日ツナのこと見てたはずなのに。 獄寺と山本と一緒に校門を出ていくツナの後ろ姿をぼんやり眺めて、それから描きかけのスケッチブックを勢いよく閉じた。あーあ、ダメだダメだ全然描けない!描きたいのに、今のツナを描きたいのに、なんでツナのこと直視できないんだろう!代わりに頭に浮かんでくるのは、小っちゃい頃のツナ。あーあ、もう。いっそのこと今のツナなんか描かないで昔のかわいいツナを描けばいいのかなあ。 私はスケッチブックとカバンを抱えて、家の近くの公園に向かった。 誰もいない公園のブランコに腰掛けて、スケッチブックを開いた。そこに描かれているのは、ものすごく真剣な目をしてるツナ。私、今までこんなツナ見たことなかったよ、こんなツナなんか知らないよ、なんで、どうして、私こんなに胸が苦しいの。ツナのばか、ツナのせいだ、ツナがこんなに変わっちゃうから、ツナのせい。こんなツナの絵、破って紙飛行機にして捨ててやる! 「・・・っうわ!か、紙飛行機!?」 「え?あ、ツ、ツナ!?」 「!こんなとこで何やってんだ?つーかコレ飛ばしたの?」 まさかのまさかでたった今まで私が悪口を言っていたツナ本人がまさかの登場!噂をすれば何とやらってほんとだったんだね!いやー、それにしてもなんでこのタイミングでツナ?なんかかなり後ろめたい気がするのは私だけ?ツナは、側頭部に当たってアスファルトに落ちた紙飛行機を拾い上げて公園に入ってくると、私の隣のブランコに座った。二つあるブランコの右側が私、左側がツナ。小っちゃい頃からずっとずっとそうだよね、変わらないなあ。隣でツナは私の飛ばした紙飛行機を見つめながら、やっぱり私のよく知らない真剣な顔をしている。 ツナが、紙飛行機を広げた。 「・・・、これってもしかして、俺?」 「・・・のつもりだったけど、やっぱりやめた」 「なんで?は絵が上手くなったよ」 「・・・だって、そんなツナ、ツナじゃないみたいなんだもん」 「はぁ?何を言い出すんだよは」 はいはいそうでしょうよ、ツナにとってはね!だけど私にとっては一大事なんだもん。ツナが昔のまんまのツナじゃないなんて、ツナが変わっちゃったなんて、ねえ、ツナはいつのまにかほんとにかっこよくなっちゃったね。それなのに、私はそのことに気付かない振りをしてたんだ。どうして私、ツナのこと直視出来ないのか、ツナの絵が描けないのか、ほんとはちゃんと分かってるよ。ツナ、私ほんとはね、ツナのこと見てたらドキドキしちゃって仕方ないんだよ、死にそうになるんだよ。ねえツナ、分かってる? 「・・・は、昔の俺の方がいいの?」 「昔のがかわいかったよ」 「弱虫で、何をやってもダメなダメツナの俺の方が良かった?」 「・・・」 「・・・、あの約束まだ覚えてる?俺はあの約束守るために、頑張ったつもりだよ」 「ツ、ナ・・・私、」 「ねぇ、俺は、のモデルにはまだなれない?」 そんなの、聞くなんて。ツナは、とっくにモデルになってるよ、ねえツナ、ほんとにかっこよくなったよね。 そう言ったら、ツナは昔と変わらない優しい顔で笑った。それから真面目な顔に戻って、私の手を握った。心臓が、一気に速くなる。頬っぺたが熱くなって、握られた部分も熱くなる。うわ、どうしよう。心臓が爆発する、息が止まる、脳みそが溶ける!ぐるぐるそんなことを考えながら、私の手を握ったまま何にも言わないツナを見ていたら、ツナは元の笑顔になった。 「、やっと言える。俺は、が好きだよ」 |